教育長のひとこと NO.8

 「さわれる検索マシン」

インターネット検索「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー(株)が「さわれる検索マシン」を開発されました。そして11月1日、筑波大学附属視覚特別支援学校(盲学校)に寄贈されました。

「さわれる検索マシン」は、大きな雲のような形をしています。マシンの前にたって、実際に「さわってみたいもの」の名前を言うと、データベース内でそのものの設計情報が「検索」され、3Dプリンターから樹脂製の立体物がプリントアウトされて出てくるのです!それは、「キリン」「くらげ」「トリケラトプス」「金閣寺」「ロケット」などです。30から40のデータで始まりましたが、9月と10月に本校に貸し出しされた間に200を超えるデータになりました。それは、データにないものがリクエストされた場合は、「さわれる検索 Yahoo JAPAN」のホームページから「さわりたいもの」としてデータが募集されるのです。

「さわれる検索」には3つの教育的意義があると思います。

第一に、「さわれる検索」は学習支援のツールになります。見ることができない子どもたちにとって、さわることがものを知る中心的な方法の一つです。さわって調べることを「触察(しょくさつ)」と言いますが、視覚障害のない子どもにとっての観察が、障害のある子どもには触察になります。「さわれる検索」は、これまで触ったことのないものや全体の一部分しかさわれない大きなもの(例:金閣寺)やこわくてさわれないもの(例:蛇)などもさわることができるようになりました。このマシンは、視覚障害のある子どもだけでなく、視覚的な情報処理の困難さなどさまざまな学習困難のある子どもにとって、蝕察の機会が広がる、学習支援のツールになります。

第二に、視覚障害のある人(子ども)は、蝕察の専門家です。「さわれる検索」により、視覚障害のある人から、教えてもらうことができます。視覚障害のない人は見ることで知ることができますが、同時に「ものを見ることで分かったつもり」になり、十分にものを理解していないことも多いと思います。ある子どもは「アンモナイト」に触れ、「ヤドカリ」に似ていると自分の体験から述べました。

第三に、「さわれる検索」はもののリクエストに応えて「さわれるもの」が増えるというシステムによる、学びあいのネットワークを促進します。例えば本校の子どもから「魚」がリクエストされたときには、インドから「魚のパズル」のデータが送られてきました。子どもの学びがインドの方により支援されました。同時に、魚をリクエストした子どもは、魚のパズルが3Dデータリストへ追加されるきっかけをつくったことにより、次に魚をリクエストする子どもの学習を支援することになります。

最後に。インターネットの技術と3Dプリンタの技術が融合することにより開発された「さわれる検索マシン」は、教育の未来を開くものと期待しています。