教育長のひとこと NO.15

2015年 今年の言葉:共生社会に向けて

本年最後の教育長の一言です。来年もどうぞよろしくお願いします。

1 書家・金澤翔子さん:「人に喜んでもらいたい」
2月28日筑波大学附属学校教育局主催「公開教員研修会」で、書家・金澤翔子さんのお母さんである金澤泰子さんの講演「ダウン症の娘と生きて」がありました。金澤さんは、42才で翔子さんを授かり、翔子さんの「ダウン症」があると告知されます。泰子さんはつらい思いで子育てを始めますが、翔子さんの感性に「闇のなかで光が見えた」そうです。泰子さんは、娘翔子さんには「世俗の目標や予定がない。将来に不安がない」ことに、そして「今だけが100%」であることに気づきます。だからこそ、翔子さんの書は「純度が高い」のです。「人に喜んでもらいたい」思いで作る翔子さんが、附属久里浜特別支援学校に贈ってくださった書は、「共に生きる」です。

2  筑波大学附属学校の高校生ら:「平等の推進者として」
9月28日から30日、つくば市国際会議場で、筑波大学主催つくばグローバルサイエンスウイーク(TGSW:Tsukuba Global Science Week)が開催されました。25の国から科学者が集まり、30以上のセッションが行われました。そのなかで「オリンピック・パラリンピックムーブメントへの参画」というセッションがあり、附属の坂戸高校、桐が丘特別支援学校、視覚特別支援学校から、それぞれ、桑島祥さん、迫田拳さん、山田翔登さん、そして茗渓学園高校から太田虎之介さん、土浦第一高校から多和田萌花さん、さらにブラジルの高校生、Bruna Lie Misutaniさんと Mario de Godoy Moreiraさんが登壇しました。この7人の高校生は、TGSWの最後に筑波大学永田恭介学長らと「筑波宣言」を読み上げました。この筑波宣言では、かれらの作成した条項が採用されました。
「平等の推進者として、人種、性別など、種々の差異に起因するさまざまな障壁を打ち破るべく奮闘します。また、その義務を、自身および他者の文化を理解・評価し、決して断ち切られることのない社会的アンガージュマン(参加)の連鎖を創造することによって果たしていきます。」

3 筑波大学山海嘉之教授:「弱い人と、共に支え合う社会をめざす」
12月12日、筑波大学附属学校教育局は「共生社会を目指す講演とシンポジウム」を開催しました。そこでロボットスーツHALの開拓者として世界的に著名な山海嘉之教授より「これからの共生社会を生きる筑波附属の子どもに伝えたいこと」というテーマで講演をしていただきました。「介護が必要な人など、弱い人と、技術を使って、共に支え合う社会をめざす」というメッセージが児童生徒に送られました。キーワードは、「テクノロジー(科学技術)+ピア(仲間)+サポート(支援)=テクノピアサポート」です。そして山海教授の信念は「科学技術は人に役立ってこそ価値がある」ものであり、「未来の開拓は、異なる分野との共同が加速する」ものです。

多様な人が共に生きています。金澤翔子さんの「純度の高い書」に命の尊さを感じて、日本とブラジルの高校生の「平等な社会を創る意気込み」に鼓舞され、山海嘉之教授の「学問や職業の分野を超え、国を超えて、共に未来を拓く科学者の精神」に勇気をもらいたいと思います。共に生きる社会に向けて、多様な人の力を合わせて、進みましょう。