教育長のひとこと NO.1

 この度、筑波大学附属学校教育局教育長を拝命いたしました宮本信也(みやもとしんや)と申します。遅ればせながら、就任のご挨拶をさせていただきます。附属学校教育局は、附属学校11校における教育と研究活動の促進のためにいろいろな機能を有しています。そのお世話をする要の役割に就き、身も気持ちも引き締めて取り組んでいきたいと考えています。

 さて、国立大学法人は、平成28年4月より6年間の第3期中期目標・中期計画の期間に入りました。以下は、第3期中期目標の中で附属学校教育局と附属学校が協働で取り組まなければいけない部分を取り出したものです(抜粋のため、大学の中期目標の表現とは少し違っている部分があります)。

1.世界的な人材育成拠点としての質の高い教育を実施する体制の確立

2.附属学校群の再編を含む人事、運営、経営面における改革の推進

3.初等・中等教育及び特別支援教育における教育モデルの構築

4.オリンピック・パラリンピック教育の推進

5.児童生徒・教職員及び学外関係者が安心して学業や業務に専念できる安全な環境の保障

 これらの目標を達成するためにより具体的な中期計画が設定され、私たちはこれからの6年間でその計画を実施していくことになります。もちろん、私たちは、第3期中期目標・中期計画に書かれた事柄だけを行えばよいというものではありません。現時点で第3期中期計画に具体的にあげられていないそうした課題の一つとして、キャリア教育プログラムの開発を考えていくのはどうかなと感じています。

 キャリア教育は、『一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育』(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」、平成23年1月31日)と定義されています。職業教育がある職業に就くために必要な知識やスキルを修得・習熟させる教育であるのに対して、キャリア教育は特定の職業等を想定していません。どのような職業であっても基礎となる知識やスキルの修得とともに、多様な考え方やいろいろなことに前向きに取り組もうとする姿勢を育てる教育ともいえます。言葉を換えて言うならば、何になりたいかではなく、何をしたいかを自ら考え、その自分の考えを基に実際の職業を選択できる人を育てる教育ということができるかもしれません。

 永田学長は、今年度の入学式において新入生のみなさんに次のように語りかけられました。『君たちが大学を卒業して出て行く将来の世界はどのような世界でしょうか。君たちが社会の中心で活躍する未来はどのような社会でしょうか。君たちが働き、創る世界に、現在存在している職業や仕事、あるいは様々な社会システムや社会インフラが継承されているでしょうか。大きく変わっているか、あるいはなくなっているのではないでしょうか。』

 そうなのです。私たちは、これまでなかったものやシステムが生まれてくるだろう社会に向かう人たちを育てています。今ないものやシステムが、日本の中だけで出てくるはずがありません。そのことを考えるとき、世界規模の視点から自分の進む道を自分で決められる、あるいは切り開ける人材を育てるキャリア教育プログラムの必要性が感じられるのではないでしょうか。そして、そうしたキャリア教育は、グローバル社会に留まらずトランスボーダー社会にも応えることができるように思われるのです。