教育長のひとこと NO.8

夏休みが終わり、子どもたちが学校に戻ってきました。子どもたちが、それぞれに心に残る時間を過ごせた夏休みであったらよいと思います。

夏休み後の学校では、運動会・体育祭や文化祭など、行事がいろいろあります。夏の自由な活動から一定のルールで動く活動へ、子どもたちもギアチェンジをしていることでしょう。

 

前回、コミュニケーションにおいては、そこで使われる言葉だけではなく、表情・身振り手振や話し方(プロソディ)が重要な意味を持つことをお話ししました。このことは、メールでのやりとりにおいてとても注意が必要な点だと思っています。相手の人が何かふざけたことを言った際、『なに、ばかなこと言っているんだ』と話したとしても、そのときの表情や話し方で軽い感じを伝えることができ、けんかになることは通常はありません。ところが、メールでは、文字情報しかありませんので、言葉の意味を和らげることができず、打たれた文内容がそのままの意味で直接に相手に伝わってしまうことがあります。そうしますと、相手もよい気分がしなくなるかもしれません。メールで議論をすると、最後はけんか腰になりやすい、面と向かっては言わないような強い言葉を打ってしまう、と言われるのは、言葉が表す意味だけのやりとりになってしまいがちなことが少なくないことも関係しているのではないでしょうか。

ネット上でのいじめが世界中で問題になっています。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)という多くの人とメッセージのやりとりができるサービスシステムを使ったものが多いようです。2014年、米国の14歳の少女トリーシャ・プラブが、SNS上でのいじめを防止するのに有効な方法を考え出しました。それは、SNSでメールを送ろうとすると、送信ボタンを押す前に、次のようなメーセージを出すというものでした。

「このメールは誰かを傷つけるかもしれない。本当に出したいの?」

(This message may be hurtful to others. Are you sure you want to post this message?)

この方法で、そのSNS上ではいじめとなりそうなメールが71.1%から4.7%に減少しました。言われてみればとても簡単な方法ですが、それまで誰も気がついていませんでした。興味がある方は、以下のHPで彼女がTEDで話している様子を動画で見ることができます。日本語字幕も付いていますので、ご紹介します。

http://whats.be/106644

 

ところで、トリーシャが考え出した方法(Rethinkというソフトウェアです)の効果が大きかったということは、ネット上でのいじめ発言は軽い気持ちから出されるものが多いのではないのかということを意味しているように思われます。ですから、『ちょっと待って』というメッセージでメールの送信を止められたのではないでしょうか。このことは、当たり前のことをきちんと子どもたちに伝え続けることで、いじめをある程度防止できる可能性があることを教えてくれているように思われます。私たち大人は、普通のこと、当たり前のことを、たとえうるさがられたり反発されたりしても、照れることなく真摯に子どもたちに伝えることが大切なのだろうと思うのです。

 

秋になりました。子どもたちが、スポーツ、文化活動、学習、それぞれの領域でこの爽やかな季節を思いっきり楽しんでくれることを願うものです。