【プロジェクト研究1】 学校で「気になるこども」の支援に関する研究
現在の公立学校には、特別な支援のニーズをかかえている様々な子ども達がいる。いじめや不登校などのメンタル面での問題の解決や、通常の学級においても6.3%存在するという発達障害のある子ども達の学力保障も解決すべき重要な課題である。このような現在の日本の一般校における問題点を解決すべく、教科の授業の改善や学校におけるメンタルヘルスのサポートなど、学校の中において「あの子、気になるなあ」とうつるような、何らかのつまずきがある子どもの学習面、生活面における支援が必要となってくる。個々の子どもに注目しながらも、学校全体で取り組んでいける共通の課題解決策を提供できるような研究を行いたい。
そこで、以下の2つに焦点を絞って研究を行うことを目的としている。
- 一斉授業における教科教育の在り方
(「気になる子ども」たちも理解できるユニバーサルデザインをめざした授業作り) - 学校における生活面での支援の在り方
(学校における保健室の活用やその他の居場所の確保など、精神的に安定できる学校機能の開発・学校において実行可能であるカウンセリングや相談体制について)
プロジェクトメンバー
- 熊谷恵子、石隈利紀、田中輝美、菅野和恵、大島由之(附属学校教育局)
- 中田寿幸、桂聖(附属小学校)
- 飯田和明(附属中学校)
- 秋葉康浩、菱沼聖子(附属高校)
- 梶山正明、亀村ひかり、早貸千代子(附属駒場中高等学校)
- 初谷和行、熊倉悠貴、田中友紀子(附属坂戸高等学校)
- 左振恵子(附属視覚特別支援学校)
- 長岡康彦、鈴木牧子、海老沼裕子(附属聴覚特別支援学校)
- 安部博志、比嘉展寿、別府さおり(附属大塚特別支援学校)
- 齋藤豊、清水聡(附属桐が丘特別支援学校)
- 日山美子(附属久里浜特別支援学校)
- 澤江幸則(体育科学系)
- 濱口佳和(心理学系)
- 間々田和彦(特別支援教育研究センター)
平成22年度の取組状況
6回の研究会を核として活動してきた。まず今年度は、特別支援教育、発達障害、ユニバーサルデザイン等をキーワードとして講師を招き、あるいは研究員に講師をお願いし、お互いの知識や理解を深めることとした。
第1回研究会(平成22年6月23日)
- 研究の内容について
2つの柱の確認
ユニバーサルデザイン(メイス)の7原則の確認
支援教育システム作り - 研修会「通常学級の特別支援教育」
講師:遠藤雅孝(世田谷区用賀小学校教諭)
公立の学校の現状を把握するため、東京都の小学校に勤めている遠藤先生に来ていただき講演をお願いした。遠藤先生がかつていた小学校のクラスには、発達障害等の気になる子どもが22名中6名いた。その子どもたちを含めて学級経営をどのようにやっていったか、特に算数の授業を中心に工夫した点について話をしてもらった。
第2回研究会(平成22年7月16日)
- 研究の内容について
方向性の検討 - 研修会「灘中高等学校における特別支援教育:親の立場からの意見もふまえて
講師:山岡修(LD親の会代表)
灘中高等学校の出身者でもある山岡氏が、特別支援教育が始まった後に、再度学校を訪ね、現在の学校での特別支援教育に対する考え方や学校の中の体制などについて話をしていただき、また、親として、望ましい教育の在り方について話してもらった。
第3回研究会(平成22年10月15日)
- 研究の内容について
・国立附属学校の動向(第19回日本LD学会大会の内容から)
・公立高校の支援ニーズのある子どもの特徴
・プロジェクト1のメンバーで公開講座をもつ - 研修会「附属坂戸高校における特別支援教育」
講師:初谷和行(附属坂戸高校教諭)
附属坂戸高校は、2007年度から文部科学省の特別支援教育モデル校となり、さまざま取り組みを行ってきた。教科担任制である学校の中で子どもの実態をどのように把握したか、また個々の支援ニーズのある子どもに対して書いてきた個別の教育支援計画、また、休み時間の居場所としてのランチタイムセッションについて話をしてもらった。
第4回研究会(平成22年11月19日)
- 研究の内容について
公開講座の具体的内容の検討 - 研修会「公立学校での特別支援教育について:文京区におけるコーディネーションから」
講師:安部博志(附属大塚特別支援学校主幹教諭)
安部氏は、文京区において、公立小中学校を地域コーディネーターとして巡回し、それぞれの学校の教員と協力しながら各学校の特別支援教育体制を整えてきた。個別の支援ではなく、学校の全体の取り組みが必要であることや教員研修の在り方などについて考え直す必要があるなど、」安部氏が思う「学校力」について話してもらった。
第5回研究会(平成22年12月17日)
- 研究の内容について
来年度の指針 - 研修会「特別支援教育のノウハウを活かした理科実験:天体の大きさを実感する」
講師:間々田和彦(特別支援教育研究センター教諭)
特別支援学校においては、理科の授業について、目的を常に意識し、本質をとらえた授業をすることが求められる。「天体の大きさ」についての授業作りを例に、どのような点に配慮しているのかという話をしてもらった。
第6回研究会(平成23年3月4日)
- 研究の内容について
来年度の具体的な計画 - 研修会「発達障害と非行」講師:熊上崇(さいたま家庭裁判所調査官)
発達障害のある子どもは、非行の加害者・被害者として巻き込まれやすい。家庭裁判所に係属した事件の特徴を説明し、予防する場合の教育的支援の観点を話してもらった。
平成22年度において得られた成果
- 公立学校における特別支援教育の先進的な実践を学ぶことができた。
- 公立学校を巡回している立場の講演者によって、学校においてどのような支援が有効かを理解することができた。
- 学力の高い私立中高において特別支援教育がどのようにとらえられ、どのように実践されてきたか、実践されているか知ることができた。
- 発達障害の保護者がどのように考えているのか理解できた。
- お互いの附属学校の中での子どもの支援の取り組みが理解できてきた。
- 落ち着きのない子どもたちに対して授業を行うときに、どのような点で気をつけたらよいのかの注意点を議論できた。
- 発達障害、特に自閉的な傾向のある思春期・青年期の非行事例をもとに、どのような教育が必要か考えることができた。
平成23年度の取組状況
毎月1回ペースで研究会をもち活動している。授業づくりの点、さまざまな障害の疑似体験、支援体制について、研修会講師を招き、勉強しながら進める。8月現在のところ以下のようにすでに3回の研究会を行ってきた。
第7回研究会(平成23年5月13日)
- 今年度の研究計画の作成
- 研修会「国語の教科指導におけるユニバーサルデザイン」
講師:桂 聖(附属小学校教諭)
第8回研究会(平成23年6月10日 於:附属視覚特別支援学校)
- 研究の内容について
各学校での取り組みの報告、重点公開講座(2月18、19日)の内容の決定 - 研修会「聴覚障害の疑似体験―聴覚理解がうまくいかない子の理解―」
講師:鈴木牧子(附属聴覚特別支援学校教諭)
第9回研究会(平成23年7月8日 於:東京キャンパス小日向地区)
- 研究の内容について
- 研修会「正体不明な声が聞こえたら―統合失調症の疑似体験―」
講師:大島由之(附属学校教育局特任助教)
今後の予定
平成23年10月14日 (於:附属大塚特別支援学校) に予定されていた研究会は、中止になりました。
第10回研究会(平成23年11月11日 於:東京キャンパス文京地区)
- 研究の内容について
- 研修会「運動感覚に訴える指導法(仮題)」
講師:澤江幸則(体育科学系) - 研修会「学校の支援体制とスクールカウンセラーの現状と課題1(仮)」
講師:佐々木順子(附属視覚特別支援学校SC)
第11回研究会(平成23年12月9日 於:場所未定)
- 第12回研究会(平成23年12月9日 於:場所未定)
- 研修会「学校の支援体制とスクールカウンセラーの現状と課題2(仮)」
第12回研究会(平成24年実施予定)
- 内容未定