支援スタッフ(看護・心理)

私の役割は、参加者の健康管理のサポートをするとともに、怪我や病気の際には対応や処置を行って子供たちが早く元の活動に戻れるようにすることです。
黒姫高原に同行して、児童生徒の姿から、活動を楽しみたい気持ちや役割への責任感を強く感じました。様々な場面を見てそう思ったのですが、特に印象的なのは次のことでした。1日目の野外炊飯で、途中で雨が降ってきても火加減、水加減、ルーの量、野菜は煮えたか、味はどうかなど、みんなで楽しく相談し合ってカレーを完成させたこと。また2日目に雨でキャンプファイヤーの場所が変更になり、実行委員がそのことをみんなに伝える際に、「変更でも大丈夫!きっと楽しいよ!」と伝えたい思いがあふれていたことです。
そして、宿舎に設置した保健室の利用の仕方からもそう感じました。保健室の利用者が多かった時間帯は、学校別の偏りはなく、日中の活動が一段落した夕食前後と一日の活動が全て終わった就寝時間前後でした。来室理由は小さなケガや虫刺され、頭痛や熱っぽいなどでした。様子をきいていると、ケガや体調の異変に気づいてすぐに来室したわけではなく、少し時間が経ってから来ているようでした。きっと活動中は夢中で気付かなかったり、自分の役割を優先してちょっと痛かったり痒かったりしても我慢して後回しにしたのだろうと思いました。
自然に触れる生活のいいところは、普段の生活のルールからちょっとだけ離れて、新鮮な気持ちで一歩前へ踏み出すことができたり、美しい景色や素敵な音や匂いの中で普段よく知らない人の親切な心に触れることができたりすることだと思います。児童生徒たちだけでなく、私も黒姫高原の恩恵を受けて、他の学校の児童生徒たちと接して自分の視野が狭かったことや、自分が普段久里浜の子どもたちに接するときに気を付けていた点にあらためて気づき、とてもよい経験になりました。参加させていただき感謝しています。

筑波大学附属久里浜特別支援学校 看護師

黒姫報告ーSC.asd黒姫~出会いの場~

暑い夏の日初めて全員が集い、不安もありつつ気持ちよく送り出してくださった保護者の方々に手を振り、黒姫高原共同生活が始まりました。バスレクでは名刺交換での自己紹介、ハンディに配慮しスケッチブックやジェスチャーや手話を使い、お題にそってみんなで絵を描き、長時間の道のりも充実した交流の場でした。黒姫に到着、野外炊飯ではそれぞれの特技を生かし、突然の雨で薪に火が付かず煙に苦戦しながらも、皆で作り一緒に食べるカレーやシチューやポトフの味は最高でした!
SC感想内写真
白樺の木々に囲まれたすがすがしい朝の空気の中、ラジオ体操は大塚と附属小学校の児童が模範演技で大活躍、その後インストラクターに導かれ、黒姫の自然との出会いです。植物を観察し匂いを嗅ぎ触り味見し、日陰のさわやかな風を頬に感じ、鳥の鳴き声に耳を傾け、小川に入りその水の勢いと冷たさに驚きました。五感をフル活用し、仲間それぞれの体験の仕方や笑顔や驚きの表現を共有することで、より楽しい時間になりました。根気のいるアイスクリーム作りやそれぞれの個性が表現された思い出のフォトフレーム作り、一緒に楽しむために当たり前の配慮がなされながら協力し合い仲間の個性を発見することができました。雨のため室内で行われたキャドルファイヤーでしたが実行委員が盛り上げ、参加者全体で作り上げていました。宿の方が上げてくれた花火や満点の星空も皆で見上げました。
楽しいばかりではなく、失敗もあったり葛藤を感じたりした人もいたでしょう。でも黒姫という場で、障害という個性を尊重しながら他者と繋がるための配慮や工夫をし、人と人とが出会い、自然と出会い共有された体験が、それぞれの成長へのターニングポイントになり、参加した人からまた受け継がれ、生きやすい未来を創造する力に繋がっていくことを祈っています。

筑波大学附属学校教育局 スクールカウンセラー