筑波大学附属視覚特別支援学校「さわれる検索」プロジェクト

去る11月1日、筑波大学附属視覚特別支援学校において、「さわれる検索」プロジェクト活動報告会が開催された。

現在のインターネットサービスは、五感のうち「見る」「聞く」を使ったサービスであるが、このインターネットに「さわる」という感覚をもちこんだらという未来を描いて、検索と3Dプリンタを連携させたコンセプトモデルが「さわれる検索」マシンである。音声入力によって検索された検索結果を、その場で3Dプリントしさわることができる次世代型検索マシンが、視覚障害教育の一部に役立てばと、ヤフー株式会社より9月20日から10月31日までの期間限定で同校に導入されていた。

導入期間中、副校長室に置かれたマシンの前には、休み時間ごとにたくさんの子どもたちが集まり、さわりたいもの、見たいものをマシンに向かって発し、出力される様子や出力された立体物を手に、驚きや歓声のことばがあちこちから発せられていた。データのないものについては、複数の企業や一般の方々、インドの眼科医の方からも3Dデータが無償提供され、インターネットの未来らしく、みんなの力によって、視覚特別支援学校児童生徒の「さわりたい」を実現していくプロジェクトとなった。

報告会においては、同校の星副校長より、「自分のリクエストしたものが出てくることで、子どもたちの笑顔、驚き、発見する姿に多く出会えた。このマシンによって子どもたちの世界が豊かになり、広がり、未来へつながった」ということが報告され、続いて小学部の生徒34名がステージにあがり、児童代表の小学部6年生の福原さんより、「「ことば」を知っていても、実際に見たことがない、触ったことがない、全体の一部分しか見ること、触ることができず、全体像がわからなかったものが、マシンから取り出され、その場で見たり、触ったりすることができることに驚き、わたしたち大勢で楽しみました」とお礼の挨拶があった。

その後、ヤフー株式会社 荒波執行役員より「さわれる検索」プロジェクトの今後の展開についての報告があり、その中で、11月1日(当日)付けでマシンを筑波大学に寄贈する旨の発表があった。それを受けた石隈筑波大学副学長からは、「「さわれる検索」マシンは、常に先導的な研究を目指す同大学としても、障害のある児童生徒の学習上の困難を軽減する支援教材の開発の面から非常に大きな可能性を感じている」と感謝の言葉が述べられた。

なお、同校に寄贈された「さわれる検索」マシンは、視覚障害教育のみならず他の障害種への活用も実践研究される予定である。

マシンを囲んで皆で記念撮影

マシンを囲んで皆で記念撮影

握手を交わす荒波執行役員と石隈副学長

握手を交わす荒波執行役員と石隈副学長

作成された立体物

作成された立体物

 

 

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