筑波大学附属特別支援学校5校がスウェーデンの特別支援教育を視察

10月14日(日)~21日(日)まで、障害種別に設置された5つの特別支援学校の代表者及び附属学校教育局教員1名の計7名が、スウェーデンにおいて、インクルーシブ教育をはじめとした特別支援教育の実際について視察を行った。

スウェーデンではインクルーシブ教育は、現在の時点で「自明のこと」とも考えられている。このような背景をもつスウェーデンにおける学習環境整備状況、学習指導上の配慮、重度重複障害児へのカリキュラム、発達障害のある子どもへの援助プログラムなどについて、視察や関係者との意見交換を行った。

今回はデンマークとの国境に近いマルメ市内の特殊学校1校(聴覚障害対象)、養護学校4校(軽度知的障害の職業訓練コース対象、自閉症、重度重複障害児対象)生活訓練施設1カ所(スヌーズレン施設)を訪問し、併せてマルメ市役所の教育担当官から健常児、及び障害児の教育行政について話を伺った。

スウェーデンでは、教育の枠組みは国が作成し、市の教育委員会が教育計画を立て、各学校がそれを踏まえた独自の計画を実施する。障害児の教育は普通学校と同一の敷地内に設置されている養護学校で行われており、休み時間には双方の校舎から子どもが出てきて校庭で混在して遊んでいた。

養護学校で学ぶか、普通学校で学ぶかの判断は、担任や、学校心理士など関係者で作る委員会が、心理検査、学力検査、社会的スキル、医学的所見などのデータを基に、IQ70を基準として判定されおり、この決定の話し合いは保護者も交えて行われる。

学童保育制度(学校の中に学童保育の部屋がある)が完備されており、就学前の子どもに関しては保護者が若干の保育料を払ってこの制度を利用しているが、この他の教育に掛かる費用は大学(私立大学も含む)まで無料である。この学童保育の部屋では子どもが無料で朝食、夕食を取ることができる。

スウェーデンでは健常児、障害児を問わず全ての子どもにIUP(個別の指導プラン)を作成し、指導要領に従ったレベルに達しない子については個別の援助プログラムを作成している。また重度の障害を持つ子どもには理学療法士、心理士、言語療法士、学校関係者、医療関係者を中心にした生活訓練(ハビリテーション)支援のチームが組まれており、その子の状態に沿ったプログラムが作成され、スヌーズレン施設などを使って生活訓練をうけている。

スウェーデンでの視察を通じて、国家がどのような福祉制度を構築するかで、教育の在りようが決まるということを感じた。

マルメ市役所の教育担当官の話

スウェーデン国旗、マルメ市旗、日本国旗を掲げて歓迎(知的障害の子どもの職業訓練コースを持つ校等学校) 

同一敷地内に普通学校と養護学校が隣接する。(7時頃から登校してくる)