附属聴覚特別支援学校(生徒・教員)
黒姫高原共同生活
七月二十七日から二十九日の三日間で行われた黒姫高原共同生活に参加しました。そこには、筑波大学附属校八校から七十三人もの生徒が集まりました。私は、この企画に初めて参加するので他の生徒たちと打ち解けられるか不安でした。それに、聴覚障害を持っているのでコミュニケーションをきちんととる事が出来るのか不安でした。しかし、皆さんはとても優しくてコミュニケーション方法を工夫してきてくれたのです。それは、スマホを使い文字を入力して会話するという方法です。それに、手話を使って話してくれる生徒もいました。手話というものに興味を持ってくれた生徒が多くいたのでとても嬉しかったです。この調子で世の中に手話が普及してくれればと思います。因みに私は、筆談という方法を使おうと思っていました。残念ながら、使うことはなくあっという間に三日間が終わってしまいました。しかし、コミュニケーションをきちんととる事ができたのでよかったです。
皆と一緒にカレーやシチューを作ったり森のアドベンチャーをやったりするのはとても楽しかったです。私は、森のアドベンチャーが一番の思い出です。班の皆と一緒に森の中を歩き、森の匂いや花、風などを感じたり見たりすることが出来ました。日々の疲れがとれ癒されました。またアドベンチャーをやりたいです。
短い三日間でしたが、私にとってはとても充実した三日間でした。今回の黒姫高原共同生活では、あまり多くの人と話すことが出来なかったので来年も参加しリベンジしたいです。そのときは、待つのではなく自分から積極的に話しかけに行きたいと思います。
筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部1年 女
黒姫高原共同生活を終えて
七月の下旬に三日間にわたる黒姫高原共同生活が行われた。これは、健常者と障がい者が生活を共にする事によってお互いを理解しあい、時には助けあい、心のバリアフリー化を目指すというものだ。
私は聴覚障害者で実行委員会委員長だったのだが、最初は健常者や他の障がい者と上手く交流できるか、無事に共同生活を終えられるか正直不安だった。しかし、皆に積極的に筆談や手話でコミュニケーションをとってみると、相手も嫌な顔をしないで応えてくれた。私はとても嬉しかった。なんだ、こんな簡単な事なら親戚が集まる時にもやれば良かったな、と思い始めた時でもある。
そして、三日間は本当に色んな事があった。野外炊飯や森アドベンチャー、キャンドルファイヤーなどの企画だけではなく、お風呂での会話や大富豪など、他の人たちと大いに交流ができた。
私にとっては健常者や他の障がい者と共に生活出来たということは本当に素晴らしい経験だと思っている。その上、各学校で個人的に手話教室をしたり、各学校の行事に行ったり、共同生活よりも各学校の交流がより深まっている傾向がある。私はこれを『黒姫マジック』と名付けたいところだ。
さて、現代の社会に生きる障がい者達の中には、社会こそが本当のバリア(障壁)と捉えている人もいる。私は障がい者が特別に何をするかではなく、社会そのものが変わるべきだと思っている。社会を悲観しているわけではないが、健常者達も今回の黒姫高原共同生活のような事をやって障がい者は健常者の世界、健常者は障がい者の世界を改めて見て社会をバリアフリー化する為には何か出来るのか考えて欲しいと思う。
今回の黒姫高原共同生活で支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。
筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部2年 男
黒姫高原共同生活を終えて
私は七月二十七日から二十九日までの間に行われた黒姫高原共同生活に参加してきた。二泊三日で他校と交流したり、自然と触れあったりというものだった。
一日目の朝、私は緊張と興奮を胸に目を覚ました。あまり寝られなかった。集合場所に着くと、すでに十数人がいた。程なくして、全員が集まり、開校式が始まった。私は話を聞いている間、大丈夫かな、上手く話せるかななどと思っていた。しかし、共同生活で泊まる「ライジングサン」というホテルに向かうバスの中で、自己紹介やバスレクをしていく内に緊張はほぐれ、他の人と話せるようになった。話してみるととても合う人もいた。楽しくできて、よかった。途中で昼食になった時もよく話すことが出来た。その日の夕ご飯は野外炊飯でカレー、シチュー、ポトフを作った。私はカレーの火の番と、かきまぜる役をやった。風の向きがよく変わり、煙が目に入ったりするので大変だった。しかし、こげないようには作れたので上出来でした。
二日目には、山の中へ入り、様々な植物を見た。山の中は初めて見る植物にあふれていて、神秘的であった。食べられるものや、香りのいいものもあり心を奪われた。そして、その日の夜はキャンプファイアをやる予定だったが、またもや突然雨が降ってきて、中でキャンドルファイアをすることとなった。だがきれいだったので、良い体験になった。キャンドルファイアが終わると空が晴れていたので外に出て星空を見た。花火も見た。いい日となった。
三日目はナウマンゾウ館に行った。本物の化石を見たりさわったりして男のロマンが刺激された。
とてもいい体験ができ、すばらしい日々となった。来年も出来れば、また行きたい。
筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部2年 男
私は今まで、難聴である自分が話しかけても疎まれてしまうだろうと思い込み、健聴の人と関わることを避けてきました。そんな自分を変えたいと思っていたこの夏、友達に誘ってもらったこともあり、夏休み早々にあった黒姫共同生活に参加しました。
耳からの情報が入りづらいことや手話や口の動きを頼りにしていることを話せば、ゆっくり話しかけてくれる人、手話や指文字を覚えて話しかけてくれる人が大勢いるということを知りました。一番不安であったコミュニケーションの面では、こちらから積極的に事情を説明し、ゆっくり話してほしいとお願いすると、誰もが皆快く了解してくれました。黒姫の雄大な自然のパワーに後押しされたこともあり、他校の生徒の皆さんや小学生の子どもたち、そして他の障害をもった人たちにも、自分から話しかけることができました。口話では伝わりづらいことは、携帯電話のアプリを利用するなど、お互いに伝え合う工夫をすることで、楽しく会話をすることができました。障害の有無にかかわらず、好きな音楽やテレビ番組の話で盛り上がることもできました。健常者と障害者の間に壁を作っていたのは、自分の方だったのかもしれないということに気づかされました。
私は今まで、思い込みだけで、そういう人たちと出会うチャンスを逃してしまっていたのかもしれない。このことに気付かせてくれた黒姫共同生活と、誘ってくれた友人には深く感謝しています。また、この共同生活で私たちが楽しく安全に過ごせるよう尽力してくださった、職員や先生方にも感謝いたします。ありがとうございました。
筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部1年 女
本校からは、高等部1年生5名、2年生5名の計10名の生徒と教員3名が参加させていただきました。
実行委員長と実行委員の生徒、また運営委員の教員を中心に、試行錯誤しながらではありましたが、準備に取り組み、当日を迎えました。
初日のバス車内では、自己紹介やレクなどが行われ、児童生徒同士が初対面とは思えないほど、お互いに交流を深めていました。その様子から、参加した児童生徒が、「黒姫高原共同生活」を心待ちにしていたことがうかがえました。
「黒姫高原共同生活」では、野外炊飯、森のアドベンチャー、アイスクリームや思い出の作品づくり、ナウマンゾウ博物館の見学など、さまざまな活動が行われましたが、特に、2日目の夜に行われた、キャンドルファイヤーと花火の打ち上げは、象徴的な活動になったように思います。
キャンドルファイヤーは、キャンプファイヤーの雨天時プログラムとして行われました。雨が降り始めたときには、児童生徒は一斉に、落胆の声をもらしていましたが、キャンプファイヤー係の生徒を中心として、キャンドルファイヤーでは、火の神たちによる演出や手話コーラスなどが行われ、幻想的かつ感動的なものとなりました。また、キャンドルファイヤー終了後には、宿泊施設の支配人のご厚意により、花火が打ち上げられ、児童生徒からは歓声と拍手が響いていました。
これらの活動を通して、参加した児童生徒は、夏の3日間をともに過ごし、ごく自然なかたちで、お互いに交流や理解を深めていくことができたようです。また、参加させていただいた教員にとっても、児童生徒の皆さんや先生方との交流をさせていただくことができましたことに感謝いたします。