11月のひとこと

最近、季節の移ろいが早く、もうすっかり木の葉が色づく秋になりました。各附属学校では、文化祭の季節です。各附属学校で特色のある内容の文化祭が今年も例年通り開催されることは、大変に喜ばしいことです。日程の都合上、附属学校11校の文化祭を一度に回ることはできませんが、昨年、訪れなかった学校に行けることを楽しみにしています。ところで、先月の13日、附属坂戸高等学校で、創立65周年記念の一つとして、かねてよりの念願であった旧合宿所が新しく多目的交流棟として竣工しました。坂戸高校の在学生・教職員の皆さんを始め、保護者やご家族の皆様、後援会、同窓会の皆様など坂戸高校に関係する全ての方々は大変に喜ばれていました。この交流棟は、これまでの合宿所としての機能に加えて、坂戸高校が進めている国際交流活動や地域交流活動、大学・附属連携活動、附属学校間交流など、今後、幅広くまさに多目的に活用されることと思います。

今月も、この一言シリーズで未登場の創立120周年を超える附属中学校と附属高等学校を紹介したいと思います。既に、筑波大学広報室発行の「Tsukuba Communications、Vol.3とvol.9」に、比較的詳しく学校の特色が書かれていていますが、丸の内線「茗荷谷駅」、有楽町線「護国寺駅」から徒歩で約5分と、昨年竣工した筑波大学東京キャンパス文京校舎にも近く、周囲には都内でも緑に恵まれた立地にあります。附属中学校は、およそ600名の全校生徒の約65%が附属小学校からの進学者です。学校の伝統として、学校の主役は生徒で、毎日の学校生活や授業にしても、生徒間の交流の中で、生徒が育つ教育理念を持っています。一方的に先生が生徒を教えるのではなく、各生徒が、自ら考え、他のみんなと共に課題解決を図る校風が育っているとも言えます。日本で初めて総合学習や修学旅行を始めたのもこの学校です。ただし、このような国立大学附属学校として現在取り組んでいる諸教育研究活動やその成果について、学外に向けたより一層の情報発信が必要です。とくに、英語教育などを基盤としたグローバル人材の育成は、社会の要請であり、更なる取り組みが期待されるところです。一方、附属高等学校は、全校生徒約720名、中学校と同じく、その約65%が附属中学校からの進学者です。卒業生は、わが国の政財界、スポーツ、文化・芸術などの幅広い分野で活躍しています。わが国の先導的な教科教育を担っているとの自負はありますが、多彩な学校行事、活発なクラブ活動を活かした全人教育も展開されています。最近では、おそらく世界でも例のない筑波大学と共に取り組んでいる「オリンピック教育」が始まり、クーベルタン・ユースフォーラムに生徒が参加するなど特色ある活動が展開されています。また、グローバル人材育成に関しても、シンガポールで開催される「アジア太平洋青少年リーダーズサミット」に2006年から毎年参加しています。開催校のホワチョン校とは、毎年、相互短期交流も行っています。ただし、附属中学校と同様に、日々展開される附属高校の諸教育研究活動は、意外と学外には知られておらず、より一層の情報発信が求められています。そして、附属小・中学校からの一貫した教育を探求し、未来を創造する人材育成拠点として前進して欲しいと切に思います。