2月のひとこと
最近の筑波大学の話題と言えば、やはり、本学のラグビー部の活躍でしょう。全日本学生ラグビー選手権大会において、本学は、1月2日に国立競技場で行われた東海大学との準決勝に28対26で勝ち、1月13日の帝京大学との決勝に臨みました。決勝進出は、国立大学で初めての快挙で、本学にとっても創部以来の初めての素晴らしい成果でした。決勝戦の結果は、残念ながら、準優勝になりましたが、後半35分からの2トライは見事で、最後まで勝負をあきらめない粘り強さを発揮しました。当日は、筑波大学ラグビー部の関係者を始めとして、非常に多くの方々が、全国から応援に駆けつけて下さり、競技場は、筑波ブルーの小旗で埋め尽くされました。新聞でも大きく報道され、スポーツを通して、筑波大学の一体感が醸成されたイベントであったと思います。先日、ラグビー部の学長表敬訪問があり、清水学長代理から、選手たちの労をねぎらうと共に、今後の活躍に期待する激励の言葉がありました。昨年度のロンドンオリンピック・パラリンピックでの附属学校を含む本学の生徒・学生の大活躍は、まだ記憶に新しいところですが、筑波大学のプレゼンスを上げる本学におけるスポーツの更なる発展に期待したいと思います。
さて、自民党政権が復活した今年、平成24年度補正予算や来年度予算では、デフレーション脱却を目指した経済政策が矢継ぎ早に打ち出されています。しかし、その一方で、前政権から引き継ぎ懸案事項を見ますと、昨年6月に、2年間の期限付きですが、給与の減額、今年2月1日には退職金の削減などの措置・制度が、国家公務員を始め、独立行政法人、国立大学法人、そして地方公共団体へと相次いで導入される現状があります。退職金の削減については、官民格差などの是正を根拠としていますが、正直なところ、この措置による附属学校の教育現場の混乱は激しく、制度設計そのものが不味いと言わざるを得ない状況です。政策的に常に公務員に対する厳しい給与面での待遇措置がこれからも継続すれば、学校教員などを始めとする公務員志望の若者数は減少する一方でしょうし、これでは、教育再生を唱えている安倍政権の土台も揺らぐことにも繋がるでしょう。先月の「教育長の一言」にも書きましたが、安倍新政権下では、教育再生会議が復活し、6・3・3・4制の見直しなどの学制改革、大学入試の抜本的改革、教育委員会の改革など、教育の世界が新たな激動の時代に入る気配です。今日の日本社会には、ある種の閉塞感が様々な分野で漂っていますが、これまでの社会制度や考え方の枠組みの中では、もう限界に来ていることの表れかもしれません。しかし、当然ですが、教育現場に一時たりとも停滞は許されません。敢えて言うならば、このような時代であるからこそ、伝統と実績に裏打ちされた筑波大学の各附属学校と附属学校教育局が一体となって、あらゆる困難を乗り越えて、日本の学校教育の先導的拠点となるという強い意思を社会に示して行かなければなりませんし、その力量は十二分に備わっていると思います。そのための附属学校と教育局が一体となって取り組んでいる「3つの教育拠点」活動をさらに推進し、その成果を国民に対して大いに発信して行きましょう。