12月のひとこと
2つの文化祭
今月は、附属学校の紹介ではなく、先月に行われた2つの文化祭に参加した印象を書きます。2つの文化祭とは、附属聴覚特別支援学校の第34回の「欅(ケヤキ)祭」と附属桐が丘特別支援学校の平成23年度「桐が丘祭」です。欅祭の名前は、校庭にある大きなケヤキの木に由来すると思います。
11月3日に開かれた「欅祭」の今年度のテーマは「Life」でした。3月11日の東日本大震災を経験した私たちは、当たり前に生活できることが如何に“大切で幸せなこと”であるかを学びました。文化祭委員長は、多くの児童・生徒達が命の意味を改めて実感し、今回の「Life」というテーマ設定につながったと述べています。文化祭の内容も展示や映画や劇などの催しもの等もこのテーマに沿って盛りだくさんでした。中でも、中学部中1学年会の東日本大震災について自ら調べた内容を説明したパネルは、「Life」を再考する上で充実した素晴らしい展示でしたし、専攻科の展示も圧巻でした。PTAのバザーも盛況で、とくに卒業生も多数参加されていて、本校の長い歴史を支える同窓の絆を深く感じた次第です。ところで、文化祭からの帰り際に、校長室へ立ち寄ると、卒業生の一人がお見えになり、御本人が東京オリンピックの際に使用された聖火リレー用のトーチを、学校に寄贈される場面に立ち合いました。和やかな談笑の中で、早速、来年の学校運動会でこれを使用する計画などが話題になりました。
11月5日と6日には「桐が丘祭」が開催されました。今年度のテーマは、「絆」でした。この言葉ほど、とくに今年、人々の心に響いた言葉はないように思います。人との繋がり、絆の尊さについて再認識した方も多いと思います。私は、5日だけ参加しましたが、到着時間には、既に小学部の学習発表会が体育館で始まっていました。そこで、私は圧倒的な感動に接することになりました。小学3・4年生の“心の風景:自分をみつめて”といういわば生徒の心象風景を詩にして朗読する発表でした。何気ない日常の心の中を、こんなにも純粋な心と言葉で表現できるものかと、深い共感を覚えたのです。そんな感覚は、現在の私にとっては誠に非日常の極みであり、素晴らしい出来事でした。小学5・6年生のKBSニュースという企画も斬新で、「自分たちの将来の職業」について校外のお店など実際の職場訪問やインタビューを通して学んだ体験をニュースの形で表現していて、とても良い内容でした。中学3年生が企画した有名なミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」も圧巻で、英語の発音の上手さには感心しましたし、何より、劇を心から楽しんでいる生徒の姿が嬉しい限りでした。その姿は、バンド部の演奏でも同じでした。演奏可能な楽器は限られていても、皆で演奏する喜びが伝わってきました。帰り際に、文芸映像同好会から2011年作品集を頂きました。帰りの電車の中ですぐに読みました。中でも「片腕のピアニスト」とう作品では、音楽が好きな少女が、好意を抱く少年との関わりのなかで、事故で片腕を切断しても生きる希望をなくさないというストーリーが展開され、何故か、文化祭テーマの“絆”の力に思いを重ね合わせている自分に気がつきました。
東日本大震災の年に開催された2つの文化祭は、心に残る有意義なものでした。