5月のひとこと

新入生を迎えた桜の花は、人々に愛でられ惜しまれながら散り、5月のゴールデンウィークを目前にすると、街には遅咲きの八重ザクラ、ツツジ、ハナミズキの花に加えて、街路樹や公園緑地の木々の新緑も目に優しく映り始めます。ヨーロッパでも、古くから5月は一年で最も良い季節として歌にも謳われています。人々が、生命の息吹を心から感じるためでしょう。また、附属学校では、新入生も少しずつ学校にも慣れ、友達も次第に出来てくる頃かと思う反面、学校にまだ馴染めない子供達もいることを考えると、少し心配になります。筑波大学附属学校教育局にも新しいスタッフを迎え、新しい風を取り込みながら、今年の教育局と附属学校の諸活動の進展を期待する今日この頃です。

ところで、全国国立大学附属学校連盟は、毎年、全国261校園の間で、情報の交換・課題の共有を目指して、アンケート調査を実施しています。昨年度は、その結果を「国立大学法人化後における附属学校園の現状についての実態調査報告書(平成23年度)」と題した小冊子として配布されました。今月は、この小冊子の中で、私が気に留めた幾つかの事項について述べたいと思います。

第1に、法人化後の評価についてです。約半数の学校園は、定性的表現ではありますが、「5段階評価で中程度の3と評価」と回答しており、①大学との連携改善、②附属学校園の役割の明確化などをその主な要因として挙げていました。3ですから良くもなく悪くもなくということでしょうが、さて、私達の附属学校ではどうでしょうか。附属学校教育局に常置された大学・附属学校連携委員会のもとで、各附属学校に置かれた連携小委員会の活動を基盤として、とくに、法人化後には、プロジェクト研究、高大連携諸活動、高大接続、教育実習に関する検討などに鋭意取組んできました。しかしながら、残念なことですが、それらの諸活動から得られた成果が、附属11校・筑波大学の教職員を始めとして、他大学、地域社会、国民、そして国外の関係ある人々の目に届いていると、私達は胸を張って言えるでしょうか。私達が行っている素晴らしい諸活動の成果を、国内外に情報発信していく仕組みをより一層強化して行きたいと思います。勿論、諸活動の内容を格段に質の高いものにしながら。

第2に附属学校の役割(存在意義)についてです。この課題については、私も機会あるごとに発言しておりますが、さらに明確化する必要があると強く感じています。従来から言われるように、公立学校では実践できない教育研究の展開や次世代の教員養成のための教育実習の充実だけに、その存在意義を求めるのではなく、それに加えて、例えば、地域の教育機能が充実する中で、その中核センター的な役割が期待されています。私達も、児童・生徒本位を旨としながら、附属学校の今後のあり方とは何かをもっと論議していきましょう。終わりに、4月の一言の結語の再掲ですが、今年度を附属学校教育局と全附属学校の新しいステージの幕開けの年にしましょう。