7月のひとこと

7月に入り、一段と太陽の日差しが強くなり、既に、夏到来の気配です。東日本大震災後のわが国の電力供給の実態を考えると、今年も昨年と同様な節電に取組んでいく必要があります。しかし、特に附属学校では、児童・生徒の健康を第一に考えなければなりませんので、機械的に節電に対応することは避けなければなりませし、児童・生徒の体調を良く観察しながら、きめ細かに対応することが何よりも肝心です。

さて、5月から始めさせて頂いている附属11校の教員との懇談会について、少し進捗状況が遅いのですが、残すところ、附属小学校と高等学校の2校のみとなりました。6月にも本コラムで書きましたが、現場の先生方と直接に意見を交換しながら、「附属学校の現状と課題」についての認識を共有したいとの私の思いから訪問している訳ですが、どの程度それが実現できているのか不安でもあります。ただ、「附属学校の現状と課題」に関して活発な発言と意見を聞くことは、各学校の教育研究活動の特色を再認識するとともに、私にとって附属の未来を考える大きな糧になっていることは確かです。各附属学校を訪問する度に思うことですが、各附属学校には伝統と実績に育まれた個性があり、そこでは、教職員が、日夜を問わず、子供達の将来のために奮闘しています。しかしながら、よく聞かれる声に、附属学校で一体今何が行われ、何を目指しているのか、どうも伝わってこないということがあります。率直に言って、教職員がこれほどまでに努力を惜しまないで頑張っている姿が、どうして伝わらないのか、どうすれば伝わるのか焦りさえ感じます。この現状を少しでも改善するために、昨年4月に教育長に就任して最初に行ったのは広報活動の活性化です。従前の学校教育局概要の内容と構成について、各附属学校と協働しながら刷新し(日本語版と英語版を別冊としました)、教育局ホームページも各内容にアクセスしやすいように改善しました。お蔭様で、ホームページへのアクセス数も増加しており、英語版の充実などをさらに行いたいと考えています。各学校のホームページもさらに改善する必要があるでしょう(法人化後の国立大学法人では、従前にもまして国民・社会の要請に答えることが必要ですし、日常的活動をもっと社会に発信しましょう)。

しかし、教育と言う営為は、幼児期からの人間形成に根本的に関るものであり、一朝・一夕に答えが得られるものではありません。現場における教職員の日々の汗と努力に支えられた教育実践・研究からのみ生まれるのも厳然たる事実です。とすれば、児童・生徒の立場に立って、毎日の教育実践の内容と成果を積極的に国内外に発信することは、現代の情報化・グローバル化された社会で、誠に重要なことです。現在、情報発信のツールと機会は、実に多様になりました。そのあらゆるツールと機会をとらえて、附属学校の近未来的な姿を見据えて、その生き生きとした情報を発信し続けなければいけません。今年度は、附属学校全体で、グローバル人材の育成・国際教育の推進を、国民の目に見える形で進めて行きます。個々の確かな歩みを大きな流れに変えて、保護者・同窓会・関係各位との協働を見方にして、附属学校の存在意義を社会に発信して行きましょう。