9月のひとこと
今年の残暑は、降雨量が例年の2割程度ということも関係しているのか、例年より厳しい感じです。今月は、ロンドン・パラリンピックが開催されています。筑波大学からも日本代表として参加する中、附属学校の関係では、視覚特別支援学校高等部普通科の若杉遥さんがゴールボールに出場しますし、卒業生では、平成5年度附属盲学校高等部卒の河合純一さんが競泳男子(視覚障害)に出場するのを始めとして、同窓生である堀越信司さん(陸上競技)、秋山里奈さん(水泳)、木村敬一さん(水泳)、加藤裕司さん(柔道)らが出場します。また、平成8年度附属桐が丘養護学校卒の秋元妙美さんは、ボッチャ(球を転がしたり投げたりしてジャックボールと呼ばれる目標にできるだけ近づける競技)に出場しますが、弟で介助者の秀雄さんと支え合う姿が新聞にも大きく報道され、人々に勇気を与え感動を呼んでいます。皆さんの活躍を応援するとともに、附属学校の特色ある取組みである「オリンピック・パラリンピック教育」の中で、大会後の適当な時期に、出場者から色々な話をして頂く機会を設けたいと考えています。
ところで、7月の上旬に終了した今年度1回目の附属学校教員との懇談会ですが、その報告をします。この目的は、現場の先生方とともに附属学校が抱える課題について話し合い、認識を共有することでした。本年度は、本学の第2期中期目標・中期計画の3年目で、その内容の再確認と昨年度に実施された監事監査報告を基に話し合う形式を取りました。しかし、現場から出て来た様々な意見は、ある程度予想されたものの、この目的とは必ずしも軌を一にせず、現状への不満と改善要望が殆どでした。各学校に特徴的事項とは別に附属学校全体に共通した事項もありました。中でも、中期目標・計画にある大学と附属学校との間の具体的連携についての意見でした。大学教員との連携の中で、現場に役に立つ研究教育を進めることは大学の附属学校が持つ大きな特徴ですから、これは是非とも改善して行かなければなりません。現在、附属学校教育局の教員が中心になり、各附属学校の教員とともに4つのプロジェクト研究を行っていますが、大学との人事交流を含め、より広範囲で日常的交流を行える新たな“場の創成”と予算的裏付けが必要に思いました。また、附属学校間の人事交流に関する意見や教員の疲弊感も多く聞かれました。本来の教育研究業務以外で費やされる時間が多すぎるとの意見です。しかし、教員の加配は、現実的には無理ですから、やはり、業務改善しか現実的には良い対策は無く、それぞれの附属学校で削減できる業務を洗い出し、社会の要請に見合った各学校の存在意義を国民に明示しやすい業務にシフトすることが肝要です。そして、何よりも、公立学校にも劣る施設の老朽化について、児童生徒の学習環境の大幅な改善を図るべく早急に解決すべきであると痛切に感じました。今後とも筑波大学附属学校において日本の教育をリードしていくために、現状に向き合い改善して行く方策をスピード感をもって行うことを心がける必要性を深く肝に命じました。近い将来、今回のような懇談会を再び設定して、次回は各学校で改善できる課題などを中心に話し合いを行いたいと考えています。