引率団団長より

平成28年度 黒姫高原共同生活の概要
~参加者の声リレー連載の開始に当たって~

黒姫高原共同生活団長 附属学校教育局教授 下山直人

昨年の夏(2015年)に続き、今夏も筑波大学附属の児童生徒が黒姫高原で共同生活を行いました。附属小学校、中学校、高等学校、駒場高等学校、坂戸高等学校、そして附属聴覚、大塚、桐が丘特別支援学校から73名が参加しました。昨年より、参加者が20名程増えました。
筑波大学の附属学校は、いろいろな人が力を合わせて作るこれからの社会で、グローバルに活躍する人材の育成を目指しています。そのため、これまでも学校間で、お互いの理解を深め、支えあうことの大切さを学ぶ交流活動を行ってきました。昨年から、全附属学校の資源をフルに活用し、こうした交流活動の充実を目指しています。その一環として行われているのが、ここに紹介する黒姫高原共同生活です。

1 目的 様々な障害のある児童生徒を含む筑波大学附属学校群(附属11校)の児童生徒が、共同生活と障害者スポーツやアダプテッドスポーツを通して多彩な交流活動を展開し、心のバリアフリーに対する意識の向上を図るとともに個性の尊重と伸張を目指す。
2 期間 7月27日(水)~ 29日(金) 2泊3日
3 目的地 黒姫高原 黒姫ライジングサンホテル(信州自然大学校の本部)
4 参加者 児童生徒73名
5 引率団 学校教育局および附属学校の教職員30名
6 行程

(1日目)集合:東京キャンパス → バス移動(バス内交流、昼食)→ ホテル到着 → 館内オリエンテーション →【野外炊飯】→【館内レクリエーション】→ 就寝

(2日目)起床 → ラジオ体操→朝食→【森のアドベンチャー】→ 昼食 →【アイスクリームづくり・思い出の作品づくり】→夕食 →【キャンドルファイヤー・花火】→ 就寝

(3日目)起床 → ラジオ体操→朝食 →【野尻湖ナウマンゾウ博物館見学】→ バス移動(バス内交流、昼食)→ 到着:東京キャンパス → 解散

7 費用 参加児童生徒:宿泊費及び食事代、交通費やイベント費用等については教育局負担

今年度の実施に当たり、昨年度の反省を踏まえて念頭においたのは次のようことでした。

  • 参加する児童生徒は、他の学校の児童生徒との交流を望んでいる。それを実現する日程はどのように作ったらよいか。
  • 児童生徒は、企画や運営に参加することを望んでいる。時間的・空間的制約の中でどのような工夫ができるか。
  • 児童生徒は現地の情報を十分持っておらず、児童生徒間ではコミュニケーションが困難なこともある。様々な制約の中で、児童生徒に何を企画・運営させる範囲や内容、、話し合いのルールづくりなど検討が必要である。

昨年度は、5月末に教職員の運営委員会を発足させ、生徒実行委員会を6月に組織しましたが、今年度は、両委員会を2週間前倒しするとともに、教職員と生徒が課題を共有しながら準備を進めました。
第1回の生徒実行委員会で、聴覚特別支援学校の高等部2年の男子生徒が実行委員長に選出されました。準備、本番、反省を通して彼のぶれないリーダーシップは頼りがいのあるものでした。同時に彼を盛り立て支えた実行委員メンバーのフォローも見事でした。
生徒実行委員会は、係を分担し、3回の実行委員会のほかにも連絡を取り合いながら準備を進め、当日幾つものサプライズをもたらしてくれました。しかし、事前の準備をしたのは実行委員のメンバーだけではありません。桐が丘特別支援学校の児童生徒の感想から、初めて出会う仲間との交流にいかに心の準備をして望んだのかが読み取れます。
こうして実施された黒姫高原共同生活は、児童生徒にとっても、教職員にとっても新鮮で感動的な体験の連続でしたが、同時に考えさせられ反省すべきことも多い取組でした。黒姫高原共同生活のリアルな状況を、参加した児童生徒及び教職員の生の声を通して伝えたいと考え、このホームページを企画しました。少しずつ掲載してまいりますので、継続してお読みいただければ幸いです。

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