高等部生徒が彫刻鑑賞会に参加

  4月29日火曜日の午後、公益社団法人日本彫刻会が上野にある東京都美術館で開催している「第54回日彫展」に高等部3年生全員が出かけ、作家のみなさまに説明をしていただきながら、思う存分彫刻を触って鑑賞しました。彫刻に秘められている作家の思い、作成の過程、素材が示す手触りや質感の違い、様々に表現されている形などを、各自のペースでじっくりと味わったり、考えたりすることができました。鑑賞の前には、各作家から、彫刻とどのように関わっているかなどを話していただきました。美術館のアクセシビリティについて研究している本校卒業生の大先輩からは、彫刻の形、大きさ、手ざわり、素材が伝える風合いなどを「彫刻のことば」として受け取って、彫刻と会話するように鑑賞してみようというお話がありました。

  鑑賞の後には、グループで意見交換し、印象に残っている作品とその理由を、全体に向けて発表しました。

  以下は生徒の感想の一部です。

  粘土と石膏を用いて作品を制作する時に、目立たないところに扉を付けて、内側をくり貫けるようにしているということが衝撃であった。知識として知らなかった上、言われて見ても分からないような精巧な隠され方をしていたり、それそのものが作品のアクセントとして残されていたりなど、技術と工夫や発想の強さを知ったように思えた。
  「どこを目立たせたいかによって作る大きさを変えるんだよ。」という言葉が印象に残っている。今まで彫刻で人間や動物を作る時はいかに現実に寄せられるかがポイントになると思っていたため、この言葉を聞いた時に「そんな彫刻で形が歪なことがあるの!?」と衝撃を受けたが、よく思い返してみると顔の大きさに反して衣装(胴体)が大きすぎるもの、上半身と下半身のボリュームが違って今にも足首が折れそうなものなど、作家さんによって注目してもらいたい所を強調する手段としてボリュームに差をつけているのだと思った。
  彫刻を今までじっくり鑑賞したことがなく、平面的で木材が多いのかなと思っていたが、今回たくさんの作品を彫刻家さんの解説を聞きながら見ることができて、迫力のある大きな作品や動物や赤ちゃんを題材にしているかわいい作品などいろんな作品があり、こんなにも様々なものを表現してつたえることができるのかと、彫刻にとても興味を持つことができた。視覚を中心にして鑑賞する絵画とはまったく違い、彫刻は触って鑑賞して楽しむことができるため、私たち視覚障害を持つ人たちもたのしむことができるため、これからもっと興味を持つ人が増えると良いなと感じた。

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