高等部生徒が彫刻鑑賞教室に参加
4月23日火曜日の午後、公益社団法人日本彫刻会が上野にある東京都美術館で開催している「第53回日彫展」に高等部3年生全員と2年生の美術選択者が出かけ、作家のみなさまに説明をしていただきながら、思う存分彫刻を触って鑑賞しました。彫刻に秘められている作家の思い、作成の過程、素材が示す手触りや質感の違い、様々に表現されている形などを、各自のペースでじっくりと味わったり、考えたりすることができました。鑑賞の前には、各作家から、彫刻との関りについてのコメントを聞いたり、美術館のアクセシビリティについて研究している本校卒業生の大先輩から、視覚障害者の美術館へのアクセスの課題等について話を聞いたりすることができました。鑑賞の後には、グループで意見交換し、印象に残っている作品とその理由を、全体に向けて発表しました。
以下は生徒の感想の一部です。
作家の方がおっしゃっていた目を瞑って彫刻を鑑賞することと音楽を鑑賞することは似ているという話が印象に残っています。目を瞑って触って鑑賞すると初めは全体像がわからないが、ゆっくりと触っていくうちに全体の形が見えてきます。これが、イントロの初めの音だけではどんな曲かわからないが、曲が進むにつれ曲の雰囲気がわかってくることに似ているということです。これを聞いた時、確かになと納得したと同時に、目の見えない僕たちが美術作品を楽しむ上でのポイントかなと思いました。
今回の教室では、「空間」という言葉が印象に残った。彫刻は一つの物体ではあるのだが、それが存在するのにぴったりな空間を想像すると、彫刻がもつ物語が広がるような感じがした。またご案内の際に、作家の方がお話になる前に、自分でみてイメージを膨らませる時間を下さったので、作品の世界に入りやすかった。
これまで、彫刻に触れる機会があまりなかったので、とても貴重な体験だと感じた。彫刻を触ることのできる場所はまだ少ないようだが、触ることで感じられるものがあると思う。材料に特有の質感や、見るだけではわかりづらい作品の温度、その温度からくるであろう作品のエネルギーまでも読み取れるような気がしている。彫刻以外にも、五感をフル活用して作品を鑑賞できる機会が増えてほしいと、感じている。
普段、美術館に行って彫刻を触ると大層怒られるので今回の体験はとても貴重なものでした。目では分からない、手で触るからこそ作家さんが細部まで拘っているのが見えて面白かったです。目では全て同じように見えるのに触ってみると服や髪、腕、顔など1つの作品で触り心地が違ったり、同じ材料で作成された作品も作家さんによって別物のようになっていたり。彫刻から温もりを感じるという不思議な体験もしました。彫刻って遠くから眺めて「凄いなぁ」で終わりじゃないんだと初めて気づかされました。