令和5年度附属学校群の交流及び共同学習
共生シンポジウム
-共生社会を目指すつくばふぞくの集い-

 筑波大学には、小・中・高等学校6校と特別支援学校5校の計11の附属学校があります。特に障害種の異なる特別支援学校(視覚、聴覚、知的、肢体不自由、知的・自閉)が複数ある点は、他に類をみないバラエティに富んだ学校群を形成しています。このように多様な幼児児童生徒が集まっている特徴を生かし、筑波大学附属学校群は、「筑波ならでは」といえる交流及び共同学習に取り組んでいます。
 また、附属学校間の交流も盛んに行われています。

共生シンポジウム-共生社会を目指すつくばふぞくの集い-

 令和5年12月10日(日)に、筑波大学附属中学校・高等学校の桐陰会館で、「共生シンポジウム‐共生社会を目指すつくばふぞくの集い‐」を開催しました。
 筑波大学附属学校教育局が主催する「共生シンポジウム」は、平成27年度から毎年開催している附属学校群の交流行事であり、今回が9回目の開催となります。今年度は、各附属学校の児童生徒、保護者、そして教職員等が約150名参集し、4年ぶりに対面形式で行いました。
 当日は、2部構成で行われました。第1部では、NPO法人アクセプションズ理事長の古市理代(ふるいち みちよ)氏に、「多様な背景や能力を持つ人々が共に学び、成長する社会の実現を目指して」という演題でご講演いただきました。古市氏は、ダウン症のあるご家族と一緒に歩まれてきた道程を振り返られるとともに、NPO法人アクセプションズ、NPO法人ピープルデザイン研究所での活動、りんごプロジェクト、就労体験プロジェクトの取組など、携わってこられた多岐にわたる活動をご紹介いただきました。古市氏は、ご講演を通して、多様な特性をもつ人々が地域で暮らしていくことの大切さや、共に生きることが互いの学びあいにつながること、そしてそのことを社会に広めていくことが何より大切であることなどを、参会者に語り掛けてくださいました。講演後は、質疑応答が活発に行われ、古市氏には各質問に丁寧にお答えいただきました。
 第2部では、令和5年10月に行われた「三浦海岸交流行事」について、生徒実行委員会が活動報告を行うとともに、同行事に参加した児童生徒の各校代表が発表を行いました。生徒実行委員会からは、多様な参加者が皆で取り組めるよう企画や準備を行った点が紹介され、良かった点や今後の改善点などが発表されました。各校代表からは、移動中のバス内で行われたレクリエーションや三浦海岸での地引網体験、附属久里浜特別支援学校で行った探索活動、作品の共同制作などを通して学んだことや気付いたことなどが発表されました。その中には、「筑波附属」ならではの交流活動や出会えた仲間への感謝、このような交流活動の継続を望む声なども聞かれました。また、発表者だけでなくフロアの参加者からも様々な質問や感想が寄せられ、当日の会場そのものが交流の場となりました。
 会の最後には、講演者の古市理代氏と来賓として参加されていたあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の井上清文(いのうえ きよふみ)氏から感想を述べていただきました。古市氏からは、「附属の仲間」と思い合える強い意識で一つになれていることの素晴らしさと、これからも「誰一人取り残さない社会って何だろう」という問いかけを忘れないで成長していってほしいとのメッセージが伝えられました。また、井上氏からは、交流行事で撮った集合写真に代表される「仲間との思い出」がいい経験につながっていることがよくわかったと述べていただくとともに、今後の活動継続には交流体験をいかに他に発信するかが大切になるとの励ましをいただき、今後も筑波附属の交流活動を支援していきたい旨をお伝えいただきました。
 今回、久しぶりに対面形式で開かれた共生シンポジウムは、第1部、第2部を通して会場全体に活気を感じ、参会者全員で「附属のつながり」と「交流することの大切さ」を実感するよい機会となりました。

※本年度の交流活動にかかる費用には、附属学校群の交流行事の意義に賛同される「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」様からいただいた寄附金を活用しています。

関連する行事はこちら→ 令和5年度 附属学校群の交流及び共同学習 三浦海岸交流行事 ‐11校が一つになる集い‐

【共生シンポジウム】